野の花大好き 八事裏山の思い出

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2010/05/06 Thu
S-himesiyaga.jpg

 幼かった頃。
此処で遊び呆けて、夕日が西に沈んでしまった。
一緒に遊んでいた悪がき仲間は一足先に家に帰ってしまっている。

 昔の地名の言い方をすると、
此処は八事村の南に辺り、中根村の北側で裏八事と呼ばれる丘陵地帯である。
そんな場所には、人家は一軒も無かった。
何故、
人家が一軒も無かったなどと子供の当時は知る由もなかったのであるが、
随分と時が経ってから、
その土地は、旧尾張徳川家の”御狩り場”であったからであると知ったのであった。

 そんな所は、
今の地名で言うならば、名古屋市の昭和区の南の境から瑞穂区の東境と、天白区の西一帯に広がった、子供にとってはとてつもない、広大な地域であった。

 普通このような場所は、
入会権者と呼ばれる、地域村落の住民などが柴草や山菜やキノコや時には、筍を手に入れたりする”里山”だったりするのだが、
この場所だけは、そんな住民の出入りなどは一切に無かったのである。

 それは、
長い歴史の中で、”御狩場”であったが故に、立ち入り”御法度”の地域であったからである。

 勿論に、
江戸時代には「野方山方奉行」の管理地域であり、
立ち入った者は、見つかり次第、”打ち首”の厳罰が科せられていたのである。

 そんな場所も、
昭和になって、旧尾張のお殿様、所謂「尾張徳川家」も貧窮してかは知らないが、
名古屋市に払い下げられたのではあるのだが、
名古屋市は名古屋市で、一度にこれ程の広大な土地を、金銭に換えろと言われても、
其れだけの金銭的な予算は無くて、尾張徳川家の納税分だけの土地の名義の移行であったのであろう。

 そんな訳で、
この地域には、広大な未開発の土地が戦後まで残っていたのである。

 私は、
その場所で日が暮れてしまったのである。
そこは、道と呼べるような道路などは無く、
あるのは、何処に繋がっているか判らない獣道が無数に勝手な方向に着いているだけなのであった。

 そんな場所ではあるのだが、生まれ育った場所であるからして、
幾ら幼くとも、日の沈んだ方向に凡そ家の方向があることは知ってはいたし、
北に進めば、南山から隼人池への八事村の西に、
東に向かってはいけない、それは、中根村の北から天白渓と呼ばれる、
天白川の上流に通じてしまう、人家の無い地域であり、
ただ一つだけ植田集落があるだけで、家からは遥かに遠いからで,
其処から家に帰るには、「駿河道」今で言う岡崎街道を、八事・いりなか・川名と戻らなければ帰れない事も知ってはいたのである。

 太陽の沈んだ方向に自分の家はあるはずで、
西に向かって、この丘陵地を下れば山崎川で出るはずである。

 その丘陵地の高台は、大きな樹などは無くて、
ネズコや背の低いツツジの仲間やススキで覆われていて、
やっと人一人が通れる、獣道が起伏に沿うように続いているだけである。
その心細い獣道も、
今の名前の、上山を過ぎて道が下りに差し掛かった頃になると、
頭上には樹が覆いかぶさるようになってきた。
その、
獣道の横には”ヒメシャガ”が一杯に咲いている。

ここが、
一番に危険な場所であることは、
何度目かの冒険で、私は知っていた。

近くで一番に頑丈そうな木の枝を拾って、
暗くなってしまった山道の歩の先を、その木の枝で払いながら進んだ。

「やっぱり」!

その危険とは、”蛇”である。
真夏ともなれば蛇は、木の陰とか水辺の涼しいところうに居るのだが、
春の終わりから初夏にかけては、日当りの良い道とか開けた場所に居るのである。

 この時には、
たまたま人間には向かっては来なかったから、
ヤマカガシか青大将なのであったのであろう。

しかし、これが、もしマムシであったらそうはいかない、
秋ではないから、そんなに攻撃的ではないのではあるのだが、
少なくとも私のたった一つの帰り道を、マムシはゆずってはくらないからである。

上山からの下りの道は、ただでさえ日中でも暗い場所で、
頭上を覆った木々の間から差し込む月明かりだけが頼りであった。

遊び呆けて、こんなにも遅くなってしまった私は、
子供心にも、
きっと家に帰ったら怒られるに違いないとの思いがよぎっている。

「ホーゥー」
「ホーゥー」と、
フクロウの声が聞こえている。
そんな心細い思いで道を急いだ。

やれやれ、
下山の一軒家の灯りが見えてきた。






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